デバイスやソフトウェアは、長く、大事に使えるのか。

先日「プロフェッショナル 仕事の流儀」をたまたま拝見しました。新品を売れば売るほど儲かる電器屋で修理をし続けた結果、修理のプロフェッショナルになった今井電子サービスの今井さん。36年前から紡織の工場で使われているPC98シリーズのコンデンサを部品取り用のPC9801からまるっと移植したりなど、一エンジニアの端くれとして、とても楽しめる内容でした。

それにしても何でわざわざPC98を修理してまで使い続けるのか…と疑問に思いながら見ていましたが、そこにはのっぴきならない事情がありました。工場の織機で作られる組紐のパターンはこのPCでデータを作っているため、コンピュータを買い替えると、工場のラインごと二千万円近くをかけて改修しなくてはならないそうです。

「使い慣れた物を使い続けたい」「愛着がわいた家電を使い続けたい」といった理由に加えてこのような実情を見ていると、今のような目まぐるしい電子機器、家電製品の流通ペースに疑問を感じるようになってきました。

IoT、AI、クラウドのようなソフトウェア的付加価値でアピールする家電製品の広告を見るたびに「このサービスは本体が壊れるその日まで続くんだろうか…?」と思ってしまいます。これまで実現できなかったことが高性能化によってできるようになることは素晴らしいのですが、一方で「これで十分」という機能を、長くいつまでも使い続けられるような仕組みや流れが生まれない物だろうか、そういうデバイスやソフトウェアの在り方が今後必要とされてくるのではないだろうかということを思い、ここに書き留めておきたくなりました。

自分も時流に飲まれてなんとなく2年縛りの終わりごとにiPhoneを買い替えたり、ちょっとPCが調子悪くなるとすぐに新しい物を探し始めたりしていました。もう少しデバイスとの付き合い方について考えてみようと思います。

それと、こういう自分が思いついた考えにとりあえず名前を付ける癖があって、この件についてはアップグレードやダウングレードをせずに使い続けるという意味で“keepgrade”という名前を付けました。が、既にありそうな気もしているので、もし近い考え方で定着しているものがあったら是非教えて欲しいです。

ちなみに、放送はNHKオンデマンドで見られるみたいです。

2019-10-16|
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